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(映画)「CUBE 一度入ったら、最後」(日本リメイク版)を観た

タイトル:CUBE 一度入ったら、最後

上映年:2021年

上映時間:108分

ジャンル:スリラー

制作国:日本

概要:突然閉じ込められた男女6人。エンジニア、団体職員、フリーター、中学生、整備士、会社役員…彼らには何の接点もつながりもない。理由もわからないまま、脱出を試みる彼らを、熱感知式レーザー、ワイヤースライサーや火炎噴射など、殺人的なトラップが次々と襲う。

 

 

1997年のカナダ製「CUBE」のリメイク作品。

原作はシンプルな構成でありながら謎を解きつつ脱出を試みる。

各キャラクターの個性も見所であり、目が離せない。

 

それを日本でリメイクをするんだと。

菅田将暉をはじめとした豪華メンバー。

あまり期待出来ない。

というかダメだと思っている。

CUBEはシリーズもので、原作以外はイマイチ。

全く同じには出来ないし、どうリメイクされるのかハラハラする。

 

それでも、違いを比べる意味でも期待せずに観てみた。

予め書いておくと原作厨というわけではなく、改変できるところは変えないとリメイクする意味がないのはわかっているつもりだ。

 

でもタイトルから物申す。

「CUBE 一度入ったら、最後」

だが、原作からいくと「脱出」するのが目的である。

サブタイトルである「一度入ったら、最後」が本当だったら脱出できないのでおかしい。

不要なサブタイトル。

これはイチャモンか。

 

続いて部屋のデザインがいまいち。

これまた批判・・・。

原作より色合いや形、ライト以外の部分にも柄があり違和感。

シンプルでは無くなっている。

しかも、たまに色が変わる。

これに関しては、感情が表しているのかも知れないが、結局よくわからない。

 

役者の表情は良かった。

特に、CUBEにおける無機質さやトラップの残酷さを表現するための噛ませ役である「柄本時生」くんは「何ここ!?どうしたらいいの〜??とりあえず進んでみっか??」みたいな表情で恐る恐る進む場面。

素晴らしい演技だ。

だが、身体中に穴が空きそうなトラップが出てきたのに空いたのはお腹のみ。

 

その後もトラップがショボい。

規制がかかっているんだろうな。

そもそも完全にトラップにかかる人が少ない。

起動が遅くて、回避可能だったり。

起動したら、ほぼ回避不能という原作の良さが失われている気がした。

数本のレーザーとかガスとか・・・。

原作は硫酸、部屋全体にワイヤー等で「残酷さ」をこれでもかと表現し、危機感や緊張感を生み出していた。

その点でいうと残酷さや緊張感が足りない。

 

他者の演技が日本のドラマや映画にありがちな大袈裟なものだったのでチープに感じた。

原作は海外だから、感じ方が違うのかもしれないが・・・。

そのせいか物語に入り込みづらい。

 

さらに進め方に本気度が足りないように感じた。

原作もリメイクどちらも最初は靴を使った罠の有無チェック法だが、全員の靴を靴を使うべきである。

それが死者であっても。

しかしリメイク版は放置。

また、行き先の決め方が不明で、雑。

相談もほとんどしない。

 

さらには理屈がおかしい場面もちらほら。

扉を開けた瞬間靴を投げたり、音を立ててはいけない場面なのに首に靴をかけたまま進んだり。

ちょっと揺れて壁にぶつかったら罠が起動するんよ??

実際、靴おっことしているし。

本気で脱出する気概が感じられない。

 

いらない演出もある。

不要な口喧嘩を続ける。

ボタンがくるくる回り表か?裏か?みたいな表現されたり。

空気がずっと悪い。

あんな閉鎖空間にずっと居ればそうなるのは分かるが、終始空気悪いのは観てる方からしてもどうなんだ。

不要な演出のせいでテンポも悪い。

正直、シンプルな構成にすれば20分くらい短縮できてしまいそう。

 

各キャラクターの役割が謎。

原作はそれぞれに役割がある。

数学謎解き担当、構造体説明担当、医者担当、天才担当、狂気担当(笑)とか。

本作品は、役割が中途半端。

そもそも必要なのか?って人もいたり。

と思っていたけど、書いてて気づいた。

原作はキャラクターに「役割」を持たせているが、リメイク版はそうではないのか。

そもそもの「CUBEが何故作られたか」という点から違うんだな。

 

それでも納得いかない部分は多い。

謎解きも何だか省略されている気がする。

脱出するために「謎解きが必要」という面白い部分が省略されている。

完全に省略されているわけではないが、「なるほどねー」という場面が少ない。

その時間を菅田将暉の過去シーンに取られている。

 

本作品は原作と比べて、脱出よりも精神面を重視してると思う。

主人公(と思う)菅田将暉の精神の克服。

それを手伝う中学生。

あと狂気担当(笑)。

狂気の理由が、大人がー、子どもがー、コンビニバイトがー、という何だか1990年台にありがちな問題。

そのため少々古臭い表現に感じてしまう。

さらには狂気の部分が長い。

もういいよ・・・。

と思ってしまった。

 

あとは、菅田将暉がフィーチャリングされすぎ。

菅田将暉のための物語って思う。

日本映画の悪いところで、誰が出ているかで大体のストーリーが見えてしまう・・・。

 

と悪いところばっかり書いたが、原作を観ていない初見の人ならある程度楽しめると思う。

原作がシンプルで完成度が高すぎる。